31 July, 2014

RMSとワールドカップ,テロ保険について|The RMS Blog

RMS and the FIFA World Cup: Insuring Against Terrorism
http://www.rms.com/blog/2014/07/16/rms-and-the-fifa-world-cup-insuring-against-terrorism/
As we reflect back on this year's World Cup, which wrapped up without interruption after Germany's victory on Sunday, it is clear that FIFA's financial position is much stronger now than in 2006, due in part to the availability of terrorism insurance.

今年のワールドカップを振り返ると,ドイツの優勝はさておき,FIFAの財務状況が2006年時点に比べてはるかに強化されていることが明確になった。それは一部,テロ保険に起因している。

Eleven years ago, the global elite of the soccer world learned about innovative RMS risk analysis to help FIFA to prepare for the 2006 World Cup in Germany. Sponsorship money was essential for FIFA’s cash flow and sponsors insisted on having insurance coverage against event cancellation. After 9/11, terrorism insurance became a necessity, but was available only through Warren Buffet, the astute insurer of last resort, and was extremely expensive. So, FIFA pursued alternative risk transfer to the capital markets through a catastrophe bond.

11年前,サッカーの世界的エリートたちは,RMSの革新的なリスク分析について学び,FIFAが2006年ドイツワールドカップを準備するのを手助けした。スポンサーからのお金はFIFAのキャッシュフローにとって不可欠であり,スポンサーたちは興行中止に備える保険カバーの必要性を強調した。9.11の後,テロ保険は必要不可欠なものになったが,ウォーレン・バフェットを通じてしか入手できず,また非常に高額であった。ということでFIFAは,CATボンドを通じて資本市場へのリスクを移転するという,別の道を模索した。

FIFA's bankers at Credit Suisse turned to RMS to do what had been thought impossible – to get a terrorism risk securitization rated. It took multiple RMS meetings with Moody's in London and New York over the course of a year to present and discuss the unique terrorism risk analysis and eventually secure an investment grade rating for Golden Goal Finance Ltd. This $260 million deal remains to this day the only stand-alone securitization of terrorism risk. Prospects for further terrorism risk securitizations depend on the scope of the U.S. Terrorism Risk Insurance Act, which will be renewed at the end of 2014 with some further incremental reduction in the role of the federal government, but RMS was instrumental in instituting the precursors to these prospects.

Credit SuisseにいるFIFAのバンカーたちはRMSに,不可能と思われていたこと,すなわちテロリスクの証券化の値段をはじき出すことを問い合わせてきた。ミーティングは,ロンドンやニューヨークのムーディーズの人たちも交えながら,1年間のあいだに何回も行なわれ,テロリスクに関する独自の分析について話し合われた。最終的に,Golden Goal Finance Ltd. は投資適格の格付けを保持した。この2.6億ドルのディールは,現存する唯一のテロリスクに特化した証券化だ。将来的なテロリスクの証券化の見通しは,U.S. Terrorism Risk Insurance Act(米国テロリスク保険法,TIRA)の射程に依ってくる。この法律は2014年末に更改され,そのときには連邦政府の役割がさらに縮小される見通しだ。

Securitization of the cancellation risk of the 2006 World Cup was feasible in part due to the national importance of the event, which received extensive counter-terrorism protection.

2006年ワールドカップの興行中止リスクの証券化は,イベントの持つ国民的重要性もあって,実現が可能であった。テロ防止対策がかなりとられたのである。

While cancellation was still the biggest risk this year, the predominant local threat to the World Cup was disruption by public protest and riot. Following the start of the Arab Spring in 2011, there has been a surge of demand for international riot insurance, with a commensurate interest in riot analysis. As with terrorism, security is particularly crucial for the control of riot risk. With 170,000 Brazilian security personnel on duty for the month of the soccer tournament, insurers were able to enjoy the matches without concern that the July 13 final in Rio would be delayed.

今年も興行中止リスクは最大のリスクであるものの,現地での最大の懸念は,抗議行動や暴動による混乱である。2011年の「アラブの春」の勃発を契機に,国際的な暴動保険に対する需要,同様に暴動の分析に対する関心が非常に高まっている。テロリズムと同様,暴動リスクのコントロールには警備がとりわけ重要になる。ワールドカップ期間中にブラジルでは17万人の警備が警戒に当たり,保険者は7月13日のリオでの決勝が延期されるであろうという懸念なしに,試合を楽しむことができた。

While terrorism insurance is more widely available than in the past, it is still in short supply. Expanding modeling capabilities and increased demand for products such as terrorism and riot insurance will result in more insurance-linked securities (ILS) transactions such as the 2006 catastrophe bond, and ultimately promote a more resilient society.

テロ保険はかつて広く利用可能であったものの,いまでは依然として供給不足だ。モデリングの精度を高めることと,テロ保険や暴動保険のような商品への需要が増えることが,2006年のCATボンドのようなILSの取引を増やすことになるだろう。それが究極的には,活力のある社会を生むであろう。

30 July, 2014

IFoA(イギリスのアクチュアリー会)の Mutual Recognition について-IAJ,SOA,CAS などとの資格の相互認定制度

IFoA(Institute and Faculty of Actuaries,イギリスのアクチュアリー会)の Mutual Recognition 制度について調べています。「Mutual Recognition」とは日本語に訳すなら「(資格の)相互認識」で,例えば「日本のアクチュアリー会(IAJ)の正会員ならIFoAでこれこれの資格を与えましょう,逆にIFoAの正会員ならIAJでこれこれの資格を与えましょう」というものです。

http://www.actuaries.org.uk/members/pages/mutual-recognition-qualifications


IFoAのサイトはいろいろな文書がPDFのかたちで掲載されているのでリンクが貼りにくいのですが,例えばIAJとのあいだには,以下のような取り決めがあります:
The IoA agrees to admit to its ‘Affiliate’ status any Fellow of the IAJ who submits an application form and pays the required fee, subject to any conditions prescribed for such status. A description of the Affiliate status is attached to this agreement, as of January 2000. The IoA has the right to change the conditions for Affiliate status, and agrees to notify the IAJ if it does so. The IoA has the right to terminate the status of an Affiliate, if the conditions for being an Affiliate are violated.

The IAJ agrees to admit to its ‘Kenkyu-Kaiin’ status any Fellow of the IoA who submits an application form and pays the required fee, subject to any conditions prescribed for such status. A description of the Kenkyu-Kaiin status is attached to this agreement, as of May 2000. The IAJ has the right to change the conditions for Kenkyu-Kaiin status, and agrees to notify the IoA if it does so. The IAJ has the right to terminate the status of a Kenkyu-Kaiin, if the conditions for being a Kenkyu-Kaiin are violated.

http://www.actuaries.org.uk/research-and-resources/documents/mutual-recognition-agreements-institute-actuaries-japan
要するに,IAJの正会員にはIFoA の「Affiliate」のステータスを与えるし,逆にIFoAの正会員にはIAJの「研究会員」のステータスを与えましょう,ということですね(但し書きとして,研究会員であるためには日本語が普通に使えて翻訳の必要がなくウンタラカンタラということが書かれています)。

「Affiliate Membership」の内容については以下のリンクに書かれているのですが,年次大会に出れるとか,自らのリサーチを発表できるとか,IFoAの出版物を受け取れるとか,その程度です。IFoAのメンバーシップには「Fellow」「Associate」「Student」の3種類があって,またさらにそれ以外のメンバーシップだから,かなり限定された権利(実際には総会での投票権がないものといえるかな)ではなかろうか。

http://www.actuaries.org.uk/members/pages/affiliate-membership


さて,これがSOA(Society of Actuaries,アメリカの生保アクチュアリー会と言いたいところだが,最近は損保分野にも進出している)になると,どうなるか:
The UK Institute will on application admit to Fellowship a Fellow of the SOA in good standing on the following conditions

Upon submission of an appropriate application, the SOA will waive its examinations and admit to Fellowship, a Fellow of the UK Institute in good standing on the following conditions

http://www.actuaries.org.uk/research-and-resources/documents/mutual-recognition-agreements-society-actuaries
ということで,ちょいちょいと条件はあるものの,基本的にSOAの正会員(Fellow)ならIFoAでも正会員だし,逆もまたしかり,ということです。


で,CASについても基本的にSOAと同じで,片方の正会員ならもう片方の正会員になれますよ,と言っています。

http://www.actuaries.org.uk/research-and-resources/documents/mutual-recognition-agreements-casualty-actuarial-society


数年前にロンドンオフィスの同僚が「試験受けるならUSのがいいよ。USは受験者(特にチャイナの)を増やすために試験を簡単にしているし,Mutual Recognition で IFoA の正会員にもなれるから」と言っていたことを思い出すな。

試験の易化についてはよく分かりませんが,難しいと言われるイギリスの試験(特に「コミュニケーション能力」についての口頭試問 Subject CA3 が大変だとか)に比べたら,SOAの試験の方が,まだ取り組みやすいのではないかな,という印象を受けております。


23 July, 2014

2014年証券アナリスト第2次レベル試験の結果について

証券アナリスト協会: 2014年証券アナリスト第2次レベル試験の結果について
http://www.saa.or.jp/curriculum/cma/examination/2nd/result_20140722.html

という感じで,協会からもろもろの数値が発表されました。「合格者数は1,175名と昨年(1,168名)に比べ増加したほか、合格率も49.5%と昨年(46.1%)を上回った。」ということなので,全体的に簡単な試験だったと言えましょうかね。僕が受かったのも納得できます。保険業界からの合格者数は,生命保険が130に対して,損害保険が24。しかも,損保の合格者数はなんとなく減少しつつある一方,生保の合格者数はなんとなく増加しつつあるというのが,気になります。まぁ損保の方が運用の重要性が生保に比べて低いのは当然なんですが,この違いはなんなんでしょう。そして,大学生の合格者は24名しかいないんですね。

そして,こんなかたちで「合格者名簿」も発表されているのですが(私は開示に同意しなかったので載っていません),紙の資料をスキャンしてPDFにして掲載したかのように,文字の検索ができなくなっているのは,なぜなんでしょう。合格者のエゴサーチの楽しみがひとつ減るではないですか。
http://www.saa.or.jp/curriculum/cma/examination/2nd/pdf/2siken_goukakusya20140722.pdf

まぁ言いたかったのは,検索ができない状態での情報をWeb上に公開していかほどの意味があるのでしょうか,ということでした。

「公開」といえば,私もひっそりと自分の名前を出していますが,先日お客様から電話をいただき,ブログに書いた内容について照会を受けました。これは嬉しかったです(何のお役にも立てなかったのは心苦しいですが)。

22 July, 2014

手短に近況報告(ロンドンと証券アナリストと)

1)この7月よりロンドンオフィスへ出向という扱いになりました。2年間の予定。心身ともにロイズの近くで働いて,再保険マーケットについて知見を深めていきたく思っています。また,ソルベンシー2や広く欧州の保険会社のERM関連の動向もフォローしていきたく思います。

2)それに比べれば小さな話ですが,先に受験していた日本の証券アナリスト第2次レベルの試験に合格しました。手続きがスムーズに進めば,このさき「検定会員」あるいは「CMA」を名乗れることになります。「CMA」が日本以外でどれほど通用するのかは不明ですが。完全に準備不足で試験に臨み,「とりあえず会場まで行って何も書けなければ途中で退席しよう」と思っていたぐらいの体たらくだったので,受かった本人が合格の事実をいちばん信じられていません。